テンダー

やがて熱はおさまり、しだいに冷えていく肌を持て余しながら、茫然と朝の光を浴びる。秋のものへと姿を変えたそれに身を浸して、こ洒落た流行りのミュージックなどを流し、ときおり、水たまりが波紋を拡げるように過去が存在感をしめしてくる。弱々しく、頼りのないそれに、けれど私は抗えず、ひたすらにジッと体をまるめてすべてをやり過ごす。時間が過ぎていくのを。このままゆるやかにフェードアウト、などといった幻想をゆめみながら、現実はつづいていくことへの甘い絶望。

白けたまなざしで、晴れあがった空を見る。洗濯機から出したばかりのバスタオルは水をふくんで重たく、柔軟剤のよい香がした。こんなに晴れ渡っているのに私のうちがわは長雨がつづいているように、外に出られずにいる。